保育の現場では、毎年新しい仲間が加わります。
すべての新人に共通しているのは、「新しい環境で不安を抱えている」ということです。

今回は、そんな新人職員に対してなぜ研修が必要なのか、現場視点から考えてみたいと思います。

1. 「保育の質」は職員の安心感から始まる

新人研修の目的は、その園で働く上での基本的な考え方や行動の軸を共有し、不安を軽減することが第一の目的です。

「仕事は現場で覚えるもの」という考えもありますが、現場での指導だけでは時間も余裕も限られがちです。
丁寧な研修があることで、新人は安心してスタートを切ることができ、それが子どもに向き合う余裕にもつながります。

2.保育理念と保育方針を伝える

保育園ごとに保育観や方針、文化は異なります。
だからこそ、**「この園では、こんなふうに子どもと関わるよ」「こういう姿勢を大切にしているよ」**といった考え方を、新人に明確に伝える機会が必要です。

園の価値観を共有せず、個人の経験や感覚に任せてしまうと、方針がバラバラになり、チームとしての一体感が生まれません。新人研修は、園の“軸”を伝える大切な場です。

3. 離職を防ぎ、定着を促す

ある調査では、私立保育園の約3割が新人研修を実施していないという結果もあります。
実際、新人がつまずくのは「業務内容」よりも「人間関係」や「園文化への戸惑い」が原因であることがほとんどです。

研修によって、安心して相談できる雰囲気をつくり、園全体で新人を育てる意識を共有することができれば、離職リスクはぐっと下がります。研修は「人材確保」のための投資なのです。

4. マナーや接遇も、実は重要

「子どもとしっかり関われればマナーなんて…」と思うかもしれませんが、保護者対応や職員間の関係性において、最低限の言葉遣いや振る舞いは信頼関係の基盤になります。

とはいえ、堅苦しい「お辞儀の角度」ではなく、報連相の方法や言葉選びなど、現場に即した内容で“共通基盤”を整えることが大切です。

新人研修は「育てる文化」の第一歩

新人研修があるということは、「あなたを歓迎している」「一緒に働く仲間として大切にしている」というメッセージでもあります。

良い保育を実現するには、まず職員が安心して力を発揮できること。新人研修は、その第一歩であり、園の未来を育てる文化づくりそのものなのです。

新人研修がまだ整っていない園の皆さんへ
特別なプログラムでなくても構いません。
新人の立場に立って、「何を知っておけば安心して働けるか」をチームで考えるところから始めてみませんか?