こんにちは。(一社)キャリアヘルス研究所の谷口真紀です。
弊社にご依頼をいただいた園には、その園の保育を知りたいので可能な限り見学をさせていただいています。
ある園に行ったときです。
園児たちが、砂場に大きなショベルで穴を掘っていました。
前日の雨で砂は重く湿っています。
小さな子ども達は、ショベルを砂に突き刺すまではできますが、砂が重くてショベルを持ち上げることができません。
それを見ていた私は「ショベルのこのあたりを持つと、軽くなるよ」と指でショベルの根本あたりをつんつんと指しました。
教えた子は、上手に砂を救い上げることができるようになりました。
上手!できたねー!と言いながら、砂を運ぶ子達と一緒にしばらく砂場で過ごしました。
園長先生にこの話をしたところ、うんうん、とうなずきながら「ただね、答えを教えるのは、やりすぎなんですよ。」と一言。
はっとしました。
気づかないうちに、子どもが自分で発見をする喜びを、学習する機会を、奪ってしまっていたのです。
かといって何も言わなければ、できないからもうやめた!となるでしょう。
何もしないと、ただのほったらかしです。
「持ち方を変えると軽くなるよ」とヒントを教えてみる。
「あの子あんなにたくさん砂を運んでるよ。どうやってるのかな。」とできている子を見て真似するように促す。
こんな言葉をかけることができれば良かったんだと後から振り返って考えました。
ちょっとした言葉の働きかけが、主体性を生む。
自分で考えて、試行錯誤をして「あ、こうやって持ったら軽くなるんだ!」と自分で発見できたら、きっとその子はすごく嬉しいでしょうね。
この経験は、知恵となり、自信になり、その子の中に蓄積される力になります。
子どものできた!見つけた!を大切にする、主体性を育む保育とは、こういう関わりをすることなんだなと失敗から学んだ経験でした。
園によって関りの方法や子どもに手を差しのべるタイミングは、微妙に異なります。
この微妙な違いこそが、保育観です。
保育士の仕事は毎日がこの連続。
自分の言葉がけ、手を差し伸べるタイミング、一つ一つが子どもの糧になる、とても大切な仕事ですね。