急速に秋が深まってきましたね。
今週に入って、あわてて冬物を出したという方も多いのではないでしょうか。
私たちが行っている在職者キャリアコンサルティングでは、
ひとつの組織に対して2~3名のキャリアコンサルタントが関わります。
園に所属するすべての職員の面談を、複数名のコンサルタントが分担して行うことで、
一人ひとりの語りから、園全体の姿が少しずつ立体的に浮かび上がってきます。
「経験を語る」ことが、キャリアをつくる
キャリアコンサルティングでは、「経験を語る」ことを大切にしています。
日々の仕事や生活の中で感じたこと、うまくいかなかったこと、誰かの言葉で救われた瞬間…。
そうした出来事を言葉にしていくことで、自分の中の「軸」や「価値観」が整理されていきます。
一方で、保育実践における「省察(せいさつ)」という言葉があります。
保育学者・津守眞氏は次のように述べています。
「1回限りの不可逆な出来事である実践を、
無意識の中にとらえられている体感の認識に何度も立ち返り、その意味を問い、意味を見出す。
反省に考察を加えること。」
保育の中では、その場で感じることもあれば、
あとから振り返って気づくこともあります。
「何度も」立ち返りそのたびに意味が浮き上がってきます。
正解のない仕事を支える“省察”の場として
目の前の子どもたちに寄り添い、瞬時の判断が求められる保育の仕事には「正解」がありません。
「あのときこうすればよかった」と思うことの連続かもしれません。
だからこそ、自分の経験を立ち止まって振り返り、言葉にしていく時間が必要です。
私たちキャリアコンサルタントが関わる時間は、
まさにその「立ち返りの場」を一緒に作るプロセスです。
それは単なる面談ではなく、園や個人が少しずつ変化していく“対話の時間”です。
「Dance in the Moment」──その瞬間に生きる
キャリアコンサルティングでは、
セッションの中で生まれる一瞬一瞬を大切にします。
それは、まさに“Dance in the Moment(ダンス・イン・ザ・モーメント)”。
そのときの表情、言葉、沈黙──
それらの積み重ねが、その人のキャリアを描いていきます。
そして、保育もまた、同じように「今この瞬間」を大切にする仕事です。
子ども同士、子どもと保育者、そして環境との関わりの中で、
絶えず変化し続ける瞬間を“感じながら動く”こともあれば、
後から振り返る「省察」を通して、意味を紡ぎます。
組織の「立体的な理解」から生まれる支援
複数のコンサルタントが関わることで、
園全体の傾向やコミュニケーションの特徴が見えてきます。
職員個々の思いと組織全体の方向性をつなぐことを目指して、キャリアコンサルティングをおこないます。
私たちは、個人の成長と組織の発展がともに進むように、
伴走型の支援を大切にしています。
秋の深まりとともに、心や働き方を見つめ直す季節です。
園の中で、一人ひとりが自分の「経験」と向き合う時間を持つことが、
結果的に園全体のあたたかい風土づくりにつながり、皆様の目指す保育へとつながっていきます。
